2020.07.27

somemore people

すでにあるものに、
自分たちが欲しい「もうちょっと」をデザインすることで、
快適さや楽しさを提案するsomemore。

「somemore people」では、
仕事やライフスタイルで「もうちょっと」を形にしながら、
楽しさや新たな風景をつくりだしている人々を紹介していきます。
すでにあるものに、
自分たちが欲しい
「もうちょっと」をデザインすることで、
快適さや楽しさを提案するsomemore。

「somemore people」では、
仕事やライフスタイルで
「もうちょっと」を形にしながら、
楽しさや新たな風景を
つくりだしている人々を紹介していきます。

VOL. 07 原田和明(2) 「話せば短くなる」 「話せば短くなる」

前回の『展示について話してみる』から、話題は普段着る服装について。

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この「話せば短くなる」の作品集作りに携わらせていただき、実際に山口県にある工房へ撮影に伺ったのですが、その時の服装がとてもお洒落で印象的でした。勝手に、こだわりがあるんだろうなと想像していて。

原田和明さん:肌触りがいいものが好きです。割と服のこだわりは強いかもしれません。気に入ったら同じ服を何枚も購入して、着回します。

制作時の作業着も決まっているんですか?

原田和明さん:制作中は木屑や埃まみれになるし、接着剤とかついて服が破れることもよくあるので、基本的には身軽な格好で作業しています。でも、あるときアルベルト・ジャコメッティの写真集を見ていたらジャケットを着て制作をしていたんです。ジャケットに石膏とか汚れがこびりついているのにおかまいなしで「なんてかっこいいんだ!」と思って、僕も試しにジャケットを羽織って働いてみたんですけど、汚れは気になるし、動きにくかったのですぐにやめました。工房でお洒落をするのは、設計作業でパソコンに向かうときなど、服が汚れる心配がなく、なんとなく気分を盛り上げたい日だけです。

原田めぐみさん:ふと覗くと、たまに急にお洒落をしている時があります。(笑)

形から気持ちをつくることが多いんですね。

原田和明さん:そうですね。まだ工房にエアコンがなかった時、工房の前面がガラスなのでものすごく暑くなっていたんです。そこで、アロハシャツを着てロコモコ丼を食べて「ここはハワイだ!」って思い込めば、少しはこの暑さも楽しめるんじゃないかって試したんですが…「楽しくねえよ!」って、これも長続きしなかった。(笑)



いま着ている「somemore」シャツの着心地はいかがでしょうか?

原田和明さん:着心地最高です! しかも気分を盛り上げるにはぴったりだし、仕事で人に会うような時とか、ちゃんとした人に会う時に良いですね。

お相手がスーツを着ている場合などですね。

原田和明さん:僕がスーツを着るのもやりすぎな気がしてなんだか不自然。かと言ってTシャツに短パンだと「こいつと真面目な話はしたくない」ってなりそうで。相手にも良い印象を持ってもらえそうだし、自分もちゃんとした人になった気持ちになれる。いざというときに気持ちを切り替えられるスイッチのようなシャツです。

原田めぐみさん:着心地が良い上に、ほんのり遊び心もあって、そのさじ加減が絶妙です。階段の形のような服のパターンも、カラクリで階段を作ったりする私たちにぴったりな気がしました。

そう言っていただけると嬉しいです。その辺りは意識して作っているので。


原田和明さん:「somemore」という言葉は、僕の中では「付け足す」ってよりも、色々なアイデアの中からどんどん引いていって、引いていって…最後まで残ったもの、です。
普段は工房に籠っていて人に会う機会も少ないので、新しい服を買う必要性ってあまりないんです。それでも「これはどうしても欲しい」ってなるときがあります。「somemore」のシャツにはそれを感じました。本来無くてもいいはずなのに、持っていたいと思わせる「理由」とか「違い」が「somemore」なのかもしれないですね。そういう点では、僕たちのもの作りとも共通しているような気がします。

原田めぐみさん:確かに「somemore」の服もオートマタもシンプルなものが多いですが、削ぎ落とし切れない何かを感じますよね。

原田和明さん:オートマタも最初の段階では「ここどうする?あそこはどうしよう?」と足し算で考えます。だけど、徐々にどれだけ引いても作品として成り立つかを考える段階に変わってくるんです。伝えたいことを伝えるためには、盛り込むよりむしろ省いた方が届きやすいのではと思います。それで結局いつもシンプルになるんです。somemoreのシャツにも、同じような空気感を感じます。これ以上引いても、これ以上足しても面白くない、絶妙なsomemoreを。



最後に、somemoreな目標について教えて下さい。

原田和明さん:今回、「ちゃぶ台返し」のような作品を初めて発表してみて、非常に手応えを感じました。今後もゲーム要素があってお客さんが夢中になるような作品を作っていきたいです。

この大きさになっても、原田さんの作品だとすぐわかるっていうのも素晴らしいと感じました。そうした、作品をずっと作り続けるモチベーションみたいなものってなんなんでしょうか。



原田和明さん:今回これを作ってみたから次はこんなのを作ってみよう、という行為をずっと繰り返しています。たまに、卓球やウクレレ、チェスにハマったり…と脇道に逸れることもあるんですが。(笑) それでもいずれは元の道に戻ってきます。

原田めぐみさん:寄り道しながらも作っていたら、今回のように「作品集を出しませんか?」ってお声がけいただいたりして。いろんな人が助けてくれるんです。

原田和明さん:ときどき「脇道での経験がオートマタ作りに役に立つんですか?」って聞かれるんですが、役には立ってないです。(笑) 趣味に没頭している間は単に仕事が進まないだけです。

あともうひとつsomemoreな目標といえば「話せば長くなる」っていう本を出したいですね。どうでもいい話は、たいてい長くなりますから。


取材協力:B GALLERY
Photo:小財美香子 Text:浦川彰太

原田和明(Kazuaki Harada)

1974年 山口県生まれ。2002年よりオートマタ制作を始める。2006年よりファルマス大学大学院で現代工芸コースを専攻すると同時に、オートマタ制作の第一人者マット・スミス氏の工房でも研鑽を積む。2008年に山口県山口市に工房『二象舎』を設立、オートマタ制作やオートマタコレクション展の企画、ワークショップなどを行っている。
webサイト: http://nizo.jp/
Twitter: https://twitter.com/kazu_automatist
Instagram: https://www.instagram.com/kazu_automata/