本日は、前回の「小さなアクションから、都市を変えていく」の続きをどうぞ。 「都市戦術家」という肩書きで活動する泉山塁威さん。総称して掲げている肩書きの背景には 、何かをするためではなく、どうありたいかがあると話します。 「今の働き方に興味を持ったきっかけは、『タクティカル・アーバニズム』という考え方に共感したのがはじまりでした。 日本語で言えば『戦術的アーバニズム』といいますが、いわゆる小さなアクションから都市を変えていくといった考え方ですね。 「また、僕が都市計画を学んでいた2000年代、小泉政権により都市計画の規制が緩和されていく流れが大きく、規制緩和をする中で都市計画を学んでいました。 池袋のプロジェクトを終えた頃、社会実験などのプロジェクトをやっていく中で『タクティカル・アーバニズムをやる人』を日本語でどのように訳せばイメージに近くなるかと考えていました。 よくレジェンドの方で都市計画家と名乗る方がいらっしゃいます。規制緩和の流れもあって「都市計画家」を意訳して「都市戦術家」として名乗ることにしました。 結局は、何かをするための肩書き(Doの肩書き)というよりも、自分がどうありたいかを肩書き(Beの肩書き)で表したほうが良いんだろうなと考えていましたね。」さらに振り返って、エリアマネジメントの領域に興味をもったきっかけについても伺います。 「思い返すと、大学院の修士論文だったのが起点かもしれません。2000年代後半の就活中、リーマンショックが起きたんです。そんな時世に高層ビルをつくる仕事がこれからもあり続けるのか不安に感じていました。」 「同時に、大手企業が開発だけではなくて、丸の内の仲通りなどエリアマネジメントの手法で、エリアの資産価値をあげる取り組みが増え始めてきたんです。当時は福岡の天神や東京の大崎、秋葉原など、事例は数える程度しかなかったんですよね。 発展途上のエリアマネジメントの状況の中、修士論文としては満足のいく論文とまではいかなかったんですけど、実感としてこれからは開発だけでなく、運営など街を育てる時代になっていくだろうなと思い、生涯かけてやって行こうと決めました。」 そんな泉山さんがsomemoreと出会うきっかけについても詳しく聞きました。 「主催の滝口さんがsomemoreを立ち上げられた時に、フェイスブックの投稿を目にしたのがはじめかもしれません。 仕事柄、服装って仕事着とプライベートは変わらないんです。 形式的に大事な場面でしかネクタイは付けないですし、ジャケットも最近になって羽織るようになりました。 だからといって個性的すぎる服を選ぶのもどうかと思うので...ここまでは良いだろうと、自分なりにバランスをとっています。」 そんなときに出会ったのがsomemoreだったんですね。 「そうですね。自分の中で絶対にこのブランドしか着ないというようなルールがあれば楽なんでしょうが、 現状、そういったブランドにも出会えていなくて。somemoreもはじめはそうだったな。」 実際に手にとってみてどうでしたか? 「僕、けっこう肩幅があるんですよ。あと、だいぶ絞ったんですがまたお腹も出てきて...。 なのでブランドによってはLでも時々小さいかな?と思うことがあるんですね。 かといってXLを選ぶと逆に大きすぎたりして、サイズ選びが難しい体型なんです。 somemoreのシャツはサイズも肩幅も特に問題なく着れてますね。」 somemoreの服は、動きやすさを重視するためにすこしゆとりを感じるような構造で製作されているとのこと。 普段Mサイズを着ている人でもSでピッタリということもあります。 「あとは、ワンスパイスというか、白シャツ1枚とってもよく見ると特徴があるんですよね。 somemore特有の柄っていうのがありますよね。そういった服にはなかなか出会えてこなかったので、面白いなと思ってて。 僕もsomemoreの白シャツはよく着ていますが、白の中にも切り返しがあったりとこだわりを感じられるんですよね。」
見れば見るほど、服の中にたくさんのちょっとしたこだわりを感じることができる。 「かしこまった会議などでも着れますし、結婚式のような場面でも着ていくと思います。」 今回泉山さんが来ているシャツは『maetate-caffsパッチワークシャツ』。 レンガやタイルのような四角いパーツを組み合わせたデザインの中には、モノトーンでシンプルながらも遊び心が感じられます。 緑のカーディガンとも合っていますね。 「ありがとうございます。緑が好きで、ウェブマガジン『ソトノバ』のサイトにも深緑色を使っていて。 緑系統の服を着ることが、だんだんワークウェアになってきてますね。」
最後に、somemore(=もうちょっと)にちなんで泉山さんのもうちょっと先のことについてお伺いしました。 「これまでは一時的な実験に近しいことだったり、単発で関わることが多かったんですが、 自分が理想と思える場所づくりをイチから手がけてみたいですね。 場所も地域も都市も、やっぱりそこで暮らす人々の日常がなによりも大事だと思うので、 日常を豊かに過ごせるような場所づくりにより関わっていきたいなと思っています。」 「あとは1つの地域にどっぷり浸かって、都市とパブリックスペースを変えていく関わり方を探っていきたいなぁと、ぼんやり考えています。」 取材協力:東京ポートシティ 竹芝 Photo:小財美香子 Text:浦川彰太
2021.01.29 / Interview
自分のこだわりに出会うために