イレギュラーを楽しむ

tupera tupera(ツペラツペラ)」は、亀山達矢さんと中川敦子さんによるユニット。現在は京都を拠点に、絵本やイラストやワークショップ、舞台美術など、様々な分野でご活躍されています。今回は自宅兼アトリエにお邪魔させていただき、「somemore」な話を伺いました。全2回でお届けします。



取材をする前、おふたりが「やなせたかし文化賞」の大賞を受賞されたというニュースを耳にしました。漫画家やなせたかしさんの遺志を継いで創設され、子どものための優れた漫画や絵本、作詞作曲などを対象とした賞です。

受賞おめでとうございます。

中川さん:ありがとうございます。やなせたかしさんの想いがこもった賞の、第一回目に選んで頂いたことは、非常に光栄で嬉しく思っています。やなせさんは、漫画だけではなく、三越のデザインや舞台美術、作詞など様々な取り組みをされてきた方でしたので、私たちが幅広い活動をしているということも、評価していただけたのかなと感じました。

tuperatuperaとして活動をはじめて今年で17年目。それだけ展示やWSなどの企画を積み重ねて、ちょっと休憩しようかな、という気持ちはうまれなかったのでしょうか?

亀山さん:いろいろ締め切りが重なって来たりすると、1ヶ月くらいどこかに逃げたい!と思うこともありますが(笑)、基本的には、自分たちが好きなことを続けているのでストレスはないし、面白いお誘いが来ると、ちょっと無理してでも、やってしまうんですよね。

こどもの頃から、先々を思い描くような性分でもなかったんです。幼稚園のころの卒業文集の夢に『忍者レスラー』になるって書いてあって(笑)。で、思うんですけど、昔から先のことを考えすぎずに目の前のイレギュラーを楽しむ性格なんだと思います。

イレギュラーを楽しむ。

亀山さん:来年は誰と出会ってどういうものをつくるとか、どこの地域に呼ばれれて何をするとか、考えてもわかんないじゃないですか。だったらその状況を楽しむしかないなと思って。その結果が今につながっているんだと思います。

と話したそばで、お子さんが亀山さんの椅子をまわしはじめ、そのイレギュラーさに思わず場が和みます。



「毎回異なる仕事を異なる人と組む。その場で生まれるものを素直に受け入れ、楽しもうという気持ちが制作のモチベーションとなっている」と話す亀山さん。

たとえば、と言って見せてくれたのは、実際に触れることができる紙の実体験を盛り込んだ雑誌「ぺぱぷんたす」。

亀山さん:『ぺぱぷんたす』は編集者さんとデザイナーの祖父江慎さんから、『紙でおもしろいものを作りたいんだけど』という相談からはじまりました。紙の可能性を感じられる雑誌というのがテーマだったので、影絵や切り絵のようなアイデアをページに展開しました。



ほかにもイベントやワークショップもあれば、舞台の仕事もやっていますし、昨年は細田守監督に誘っていただき、映画『未来のミライ』のキャラクターデザインにも初挑戦しました。現在取り組んでいるものとしては辞書の装丁なんかもあります。本屋さんに行くと辞書コーナーに辞書がズラーッと並んでいるんですけど、どれもあまり差がない。そこで、棚にささっていても、本の個性がでるようなアイデアを考えています。

みんなが、ぱっと見て驚くものや、なんだか気になって手にとってしまうようなものを作りたいと常に思っています。

そんなアイデアのひきだしが、話していくうちに次々と開いていきます。

(次回に続きます)

Photo:小財美香子
Text:浦川彰太